木曽の匠と出会う
Vol.01 小林ヘギ板店

小林ヘギ板店は手しごと

年輪が詰まった天然ネズコは、ヘギ板にするといろいろな表情を見せてくれる。
木曽では木曽五木の中の1つにあげられネズコと言われるが、全国的にはネズコを黒部または黒部スギと言われる。

木の繊維を壊さず、真直ぐな木目ならまっすぐな様に、木に節があれば節の形のまま曲がり、一つとして同じ木目模様のものは無く木目の通ったヘギ板を作る。
1つが2つ。2つが4つ。4つに割ったところで、8枚に目を盛る。
そして8つが16・・・と厚さ1ミリ~2ミリになる板を手でへぐ。
道具は、木槌と使い込んだ子割りナタと匠の手と足のみ。

そして、木がしなり粘りが出てくる薄さになると、木目がきめ細かくなり艶も出てくる。
サクっ、サクっ、サクっ、サクっ、サクっ、匠とヘギ板が話しているかの様な音が出る。
「こんなにきれいだから見てくれ。見てくれ。」ヘギ板が言っているように聞こえると匠は言う。
木曽の天然木だからこそ出る粘りと艶。

天然木の粘りと艶

出来上がったヘギ板の表面は削らずして出来た浮き。
その浮きは、自然の彫刻そのものと言ってもいいくらい。
木の繊維が立体的に浮き上がり、手でやさしく撫でると指先からも木目がみえる。

この浮きと艶を作るには、手しごとでしかなし得ない。

機械で表面を削って作る板は突板。
表面はつるつるしている。
手でヘいで表面を壊さず作る板はヘギ板。
表面はぼこぼこざらざらしている。

削らないので、上から下まで木目を一切きらない。
だから、木くずが出ない。
無駄を一切出さない、江戸時代からのヘギ板作りの手法だ。

 

小林へぎ板店

〒399-5601 長野県木曽郡上松町上松1357
電話 0264 52 2472  Fax 0264 52 2510