伝統工芸品 南木曽ろくろ
Vol.02 カネキン小椋製盆所
木の目を楽しむ。
地元の木曽の人々の生活には無くてはならない清内路は、木曽谷と伊那谷を結ぶ峠道。
自然が恋しくなった時、清内路の癒しを求めドライブする人は季節通じてあり。
大型バスも通る整備された有名な峠なので県内外からの観光客も多い。
木曽谷側の峠をあがりきらないあたりに、店舗と工房併設の 「カネキン小椋製盆所」 があるので訪ねてみた。
木曽材材から削りだされる木地技術が身近に見られ、昔ながらのお椀やお盆はもちろん、今人気のある木の鉢、サラダボール、木製カップなどさまざまなロクロ細工に出会えた。
購入や見学・体験も出来るところだ。
予約をとれば、木地師が直接説明しながら快く 南木曽ロクロ細工 実演してくれる。
一刀で挽いた作品は、木目が見える漆塗ったり、木地をそのままを生かすオイルを塗って仕上げる。
素朴で温かみのあるのある器は、見た目だけでなく、お椀にしろカップにしろプラスチック食器とはまったく違い、吹口に運んだ時の感触はやさしく、器がまろやかである。
「 ロクロ細工は板目を使い木目をきれいに生かすことを大事にして挽いているので、
使う人が木の木目を楽しんで使ってくれれば嬉しい 」 と木地師、小椋さんは言う。
感触と見た目で木目を楽しむ。
食感と言っていいかわからないが、口あたりの感触もロクロで挽いた食器ならでは「やさしさ、温もり」という味がある。
木目をじっと見ていると、目の詰まり具合で冬の厳しさ、節目のない木肌の美しさから手入れの行き届いた山で浴びた光、根を伸ばし育った栄養豊富な土と豊かな水、等々木曽の山々の自然を想像させる。
板目はランダムな木目を楽しむことができ、同じ丸太から同じ板目は出る事はなく、木の種類によっても木目の表れ方が異なり、同じサイズ同じ深さの食器を同じ職人が作っても、木目だけは違う。
ここがロクロ細工の醍醐味、面白さだ。
古来江戸時代からの技法、南木曽ロクロ その時代の人々も同じように木目を楽しんだことだろう。
世の中はバブル景気に湧いていた頃、その頃はカネキン小椋製盆所のご主人は20代。
家業を継ぐため、四国にロクロ細工の師匠を訪ね木地師修行し、ただひたすらに黙々とロクロを挽いていたそうだ。
故郷の南木曽へ帰ってきてからは、お盆やお椀と言った従来あるものばかりに捕らわれず、今までにないパン皿やサラダボウル等の洋食器系をたくさん作ったのだとか。
今や、ロクロ細工で立体的な音場を再現できるオリジナル作品「木のスピーカー」も手掛けており、専門雑誌・テレビと言ったメディアにも取り上げられ、展示会に出展する事も多い。
音の愛好家の間で話題となり品質ともに評価が高い作品だ。
ロクロ細工で作る木のスピーカー 目の前にボーカルが立ち上がり楽器が奥にみえる 立体的な音場を作り部屋の中にステージを作る
経済産業大臣指定 伝統工芸品 南木曽ロクロ細工
指定年月日:昭和55年3月3日
製造地域:南木曽町、阿智村
主な製品:木地鉢、茶櫃、盆、汁椀
18世紀前半に木地師が木曽に定着し、名古屋、大阪周辺に木地に持つを出荷していたとされており、江戸時代中期には、白木の挽物がこの地方で生産されていたことが窺われます。
トチ、ケヤキ、センなどの紅葉樹をロクロ機で加工を行い、トクサ磨きや漆拭きで仕上げており、天然の美しい木目を生かした厚挽きの実用的な挽物細工です。
熟練した木地師達が、十分に選び抜いた木材の材質や木味の微細な変化に合わせて、木地鉢、茶櫃、盆、椀などを作り続けています。また、伝統を継承しながら、生活様式の変化や思考の多様化に対応した様々な製品を作っています
カネキン小椋製盆所
長野県木曽郡南木曽町吾妻4689-108
Tel、/ 0264-58-2021 Fax. / 0264-58-2637