ひとと木材の物語
Vol.06南木曽木材産業
木曽の桧を育て、製材し、建築まで提供する
南木曽唯一の建設会社
なぜ、そこまで手掛けるのか?柴原社長へ問いかけてみると即座に返答が帰ってきた。
材木は原木仕入れから製材業者、卸問屋から材木店、そして工務店へと、非常に複雑な経緯で様々な業者の手を介して入手される。
そして、どんな木であってもそこには莫大な中間マージンが発生し、元の値段などあってないような金額に変化してしまう。
木曽ひのきを育て、天然乾燥から製材、建築まで全てを一元管理の下で行うことで、質の高い木曽ひのき材を安価に提供できるのだと。
これは、木曽桧を使った6次産業だ。
農業ではよく耳にするが、林業でこれを行う会社だ。
木曽地域には林業従事者がたくさんいるが、桧を育てて、製材加工し家つくりや木工品まで作ってしまう会社はいない。
2009年宇宙飛行士・若田光一さんがスペースシャトルに持ち込んだ「ひのきうちわ」
なんと柴原社長が作ったとの事。
スペースシャトルで仰いでもらい、ひのきを香りに癒されたのではないでしょうか。
その年は、発見された惑星「kiso-hinoki」の名付け親になったりして話題にもなった。
「宇宙ステーションにひのき団扇を持っていっても、その団扇が売れるわけないことは承知している。
ただ、日本にこんな素晴らしい木があることを知ってもらいたい。認知してもらいたい。」と
世界へメッセージを届けたいと強く思った事からの行動だった。
その背景は、荒廃に歯止めがきかない日本の山々の現状にあり、「陛下、もう全国植樹祭はやまめませんか」と「木曽路発」現場からの林業白書で提言したくらいでした。
伐採しなければ、植樹する場所もないこと。
日本の林業に本当に必要なものは何か?をうったえました。
そして、具体的なアイデアもあった。
神社仏閣が地元の杉、桧、松を使て建造物を建立する愛を発揮していただきたいのです。
節がなく見栄えの良い外材よりも、節があっても、植えた人の想いが、はぐくんでくれた大地の気がこもっている木の方が、きっとその建造物を守ってくれるでしょう。
川の下流域で使用している水の源にある木を使ってください。
まずは学校、保育園、幼稚園、図書館などの公共施設から始めてはいかかでしょう。
一年に一回の山林ボランティアよりも心の交流が深まり、より強固な関係になるでしょう。
大工技術の継承。
1,400年も立派な菅とを維持している法隆寺の棟に象徴される、釘もボンドも使わない伝統木造は世界に誇れる伝統であり、文化です。
現状ではプレカットという機械任せで木が刻まれ、大工さんは腕を磨く楽しみも、腕を見せる喜びもなくなってしまいました。
技術の継承はその技術を使う場があってこそできることなのです。
日本の地形に適した林業機械の開発。
外国製の機械を使う補助金は要りません。
日本の山に必要なのは鉄腕アトムの敏捷性と鉄人28号の強さを合せ持つような独自の機械を開発する事です。
6次産業化で成功できるのは秘訣は、いろいろな発想のもと「ビジネス開発」が出来るかどうかだと聞く。
自社の事だけを考えず、日本の森林・林業の事を真剣に考え、いろいろなアイデアをもつ柴原社長である。
木曽ひのきを通じて、ここには書き切れないさまざまな専門知識や技術を持つ会社だと感じた。
南木曽木材産業株式会社
長野県木曽郡南木曽町吾妻1187
Tel.0264-57-2006 / Fax.0264-57-2006